夏子の酒物語その9    兄が残してくれた大切なものとは?

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夏子の酒物語 第9弾です

前回までのあらすじ

夏子は突然の兄の訃報に気を失って
しまいますが、とにかく落ち着きを
取り戻し、実家に帰ってきます。

駅を降りるとすぐに、この物語の鍵と
なる人物、草壁という男性が迎えに
来て、待っていた事に気付きます。

そして夏子は実家で、とてつもなく
気落ちした父をはじめとした家族と
対面し、兄康男の影響力をあらためて
痛感する事になります。
そうです、酒蔵の名家佐伯家は優秀
で貴重な跡取りを失ったのです。
もちろん人間的にも愛されていたと
いうのも手伝って、相当な悲しみに
実家が包まれていた事を知ります。

そして通夜の席では、佐伯家を取り巻く
人間関係のごたごたに慌てるシーンも
ありましたが、近所の寝たきり老人が、
康男のために、立つのもやっとの状態
で駆けつけてくれた事に、あらためて
通夜の一同も、康男がどれだけ素晴らしい
人物であったか、その康男を悼む気持ちを
どこかへやってしまっていた事に気付き、
静まりかえる事になりました。

さてここから今回スタートです

なんと今回はこの物語で最も重要なシーン
といってもいいくらいの場面が訪れ
ます。

この通夜の席に「杜氏のじっちゃん」
がいない事に気付き、夏子は探しに
いきます。
やはりというのかじっちゃんは酒蔵の
天井部屋にいて、松尾様の前で背中を
丸めて座っていたのを夏子が見つけ
ます。

ここから再現しますね。
「」内セリフのみ引用です。

夏子
「じっちゃん」
「ずっとここにいたの?」
「探してたのよ」
「通夜始まってるわ」

じっちゃんは、松尾様の祭壇を前に
して、夏子に背を向けたまま答える。

じっちゃん
「夏子・・・ここに座れ」

夏子
「うん」

じっちゃん
「夏子手を出せ」

じっちゃんから夏子は、なにやら布に
包まれたものを手渡す。
わりと重く感じるようだ。
夏子はキョトンとしながら尋ねる。
「なに・・・?」

じっちゃんが熱意を込めて言う。
「開けてみろ夏子
そん中にはおまえの兄さんの・・・
命が入っとる!!」

夏子が布きれを広げてみると
そこには、見慣れないような
種籾(稲穂からとれただけの
まだ脱穀して玄米にもなって
いない米の種)の粒があった。

すぐになんのことか感じた夏子
は、驚きます。
「こ、これは・・・・・!?」

じっちゃんが叫ぶように言う
「稲穂にして12本!
千350粒の種籾だ!!
龍錦だ!
夏子!」

夏子はここで、兄が病気の身体に
無理をさせてまで、探しまわっていた
日本一の酒造りに欠かせない
「幻の米」を兄が最後に見つけていた
事を知るのです。

思わず声を大きくする夏子。
「まぼろしの・・・・米!?」

それに答えずじっちゃんは、康男が、
龍錦をついに見つけて戻ってきた時の
様子を語り始める。
「専務はなァ・・・
帰ってくるなり
わしにこの稲穂を渡して・・・
倒れなさったんだ」
「最後に・・・たった一言・・・」
ここでじっちゃんが叫ぶ
「じっちゃん!
これで日本一の吟醸造ろう・・って」

この言葉は、涙を流しながら聞いて
いた夏子の胸に深く刻みこまれたの
だった。

“「」内セリフのみ
出典:「夏子の酒」
尾瀬あきら著
       講談社漫画文庫刊”

今回は、このシーンのみです。あまりに
大事な場面がぼけてしまってはいけない
し、この漫画にとってすべてのテーマが
この場面に凝縮されていっていると
いっていいでしょうから。

夏子は兄が生きている頃には、酒に
対しては、とてもこだわりがあって、
常人には、はかりしれないような
きき酒の才能を持っていました。
しかし、酒造りに対しては、しっかり
ものの兄がいた事もあって、佐伯家
の酒造りは安泰ととらえていたため
もあり、自分が酒造りをする事に
なろうなんて事は、ほとんど考えた
事もなかったようです。
だからこの時も兄の遺志を受け継いで
酒造りを自分がしようとは思って
いなかったと思いますが、ただただ
兄の残してくれた種籾で、必ず
日本一の酒がつくられなければ
ならないと強く思ったに違いありま
せん。

さて次回からさらに新展開です!(^^)!

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