夏子の酒物語 その14   夏子の酒の広告への熱い思い

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夏子の酒物語第14弾です。

前回までのあらすじ

夏子は、酒造りの名家である実家を
離れて、東京で一人暮らしをしながら
広告会社に勤務し、コピーライターを
目指す日々を送っていました。

ところが、実家の跡継ぎとして将来を
嘱望された兄が亡くなったという
知らせを受けて、休暇届を出して
実家に戻ります。

そして葬儀も無事済んで早くも実家の
酒蔵では酒造りが再開されています。
そこで、夏子は杜氏のじっちゃんに
驚くべきものを見せられます。
それは敬愛する兄が日本一の酒を
造るためにと、病気の身体に無理を
させてまで捜し回っていた幻の酒米
「龍錦の種籾(たねもみ)」だったの
です。

それを目にしてからというもの夏子は
しばらく考え込むようになりましたが、
父の早く帰って仕事しろという言葉に
結局は東京へ戻って仕事を続ける事に
なりました。
そんな夏子ですが、この時すでに、
兄の目指した日本一の酒造りへの
思いは夏子の胸の中にあったと思い
ます。

そして広告会社に夏子は戻ります。
これまでの夏子の東京での仕事ぶりを
もう一度振り返っておきましょう。

夏子は、東京で仕事を始めて、長らく
小口の契約の広告ばかりまかされて
いました。
スーパーのちらしや、美容室の広告
ハガキなんかの事ですね。
それが、上司の原田の抜擢で超大手の
酒蔵メーカーとの大型契約の広告を
任される事になった夏子は、はりきり
ます。
そして昔聞いた兄の言葉をヒントに
書いたコピーが大絶賛され夏子の
広告は全国紙に大きく掲載される事に
なったのです。
そこまでは良かったのですが、夏子は
その同じ酒蔵メーカーとの広告契約の
第二弾で、上司の原田とぶつかって
しまうのです。
それはあくまでも品質を正直に伝える
広告にしたいという夏子に対して、
クライアントのためにそのことには
触れるなというのが上司の原田です。

夏子は大手酒蔵メーカーが、実家で
造っているいるような米と米麹のみ
から造られる純米酒と違い、通常
多くのアルコールを添加する酒を
主体にして、宣伝力だけで売れている
のを、内心喜んではいませんでした。
その大手メーカーが、アルコール添加
の量を控えたという醸造酒の広告
では、ちゃんと品質を説明するべき
だと主張していたのです。
それは酒造りをする者たちをそばで
みながら育った夏子にとってとても
大事な事ではありました。
ですが、酒造メーカーの方針は、
そこはあくまでもごまかしたいところ
であり、広告では触れて欲しくなかった
わけです。

さて上司の説得にしぶしぶ納得して
いた夏子は、突然の兄の訃報を知り
急遽実家に帰っていたという事です。

そして冒頭でも説明しましたように
葬儀も終わりふたたび夏子は
仕事を続けるために、東京へ戻って
来ました。

今回はここからという事になります。

『』内セリフのみ引用です。

『 まずはいきなり原田の気に入る
ようなコピーを渡す夏子でしたが・・
それは夏子のちょっとした策だった
のです。

夏子が前日に実家から戻ってきた
と聞いて、原田はドライな上司
らしく、
「そうか・・・早かったな兄さん」
と言っただけでした。
なんちゅー味気ない言葉でしょうね、
しかし、そういう原田の
個性を知っているのか、夏子は
平気のようです。
丁重にあいさつしてから、コピーを
原田に見せます。

それは以前あれほどまでに夏子が
こだわった、酒の品質を説明する
ための言葉は一切なく、大手酒造
メーカーの喜ぶような、酒の味の
印象のみを強調した広告でした。
「まァまァだ・・・」
「チエ熱はひいたか」
という原田。

「はい」
夏子はすっきりしたような顔で答える。

「金寿の本醸造化をアピールするため
には アルコール添加にふれなければ
書けないとこだわっていたのが
うそのようだ」
「プロらしくなってきたな佐伯くん」
と褒める原田。

そこで夏子は、最初から準備していた
言葉を原田に告げる。
「原田さん・・・今夜 金寿の専務に
お会いするそうですね
わたしもご一緒させていただけませんか」

「ん?」
「ああ・・・社長の接待だがいい機会だ
付き合え」
「この原稿も見てもらおう」
原田は、以前の自分の説得に従った
夏子に気を許し、大事なクライアントの
専務との接待に同席する事を許します。

「ありがとうございます」

「なんだいやにはりきっているな」

「はい・・・はりきってます」
「がんばります」

そういって原田から原稿を受けとり、
その場を離れる夏子でしたが、
あまりにも、夏子が以前と変わった
事に、少し感じるものがあった
ようです。
そうですさすがは上司、夏子の策
などは見破られてしまいそうですね。

自分のデスクに戻った夏子は、
今原田に褒めてもらった原稿を少し
眺めたあと、いきなりクシャクシャ
にしてゴミ箱に捨ててしまいます。
なんという事を(゚◇゚)ガーン

しかし、どこにひそんでいたのか
原田がそのゴミ箱から原稿を取り出し
ます。
「これはどういう意味だ佐伯くん」

「・・・」

答えのない夏子に、原田は声を荒げる
「今夜 金寿の専務に見せるべき
コピーをなぜ捨てる!?」

夏子は思い詰めた表情で原田に言い
ます。
「原田さんお話があります」

そして夏子は会議室で原田と話を
しますが、夏子はそこで引き出しに
しまっておいた別の原稿を見せ
ます。

なんとそこには、以前夏子が主張して
いた通りの、酒の自然発酵由来でない
アルコールを添加したという説明が
詳しく書かれていたのです。
もちろんクライアントの意向を無視
した広告ですね(^_^;)
つまり最初から、これをクライアントに
見せるつもりだったのです。
つまり原田に同席を許させるために
偽の広告を見せていた夏子だったの
です。

「君はこの原稿を・・金寿の専務に
見せるつもりだったのか」

「はい・・・」

ふぅーと大きくため息をつき原田は
ほっとしながら言います。
「あぶなくクビがとぶとこだった」
「キミもおれも」
つまり自分が、すんでの事で夏子を止め
られて良かったという安堵の表情を浮かべ
ているという事です。

まだ思い詰めたままの夏子は言います。
「そうでしょうか」
おいおいやめておけ、私もそういう時代は
あったが、社会はそれでは通用しないぞ。

「あたり前だ!クライアントの意向を
無視した広告はもう広告じゃない!!
これは君の単なる自己主張だ」

「意向を無視するつもりはありません!
意向を変えてもらうつもりでした!!」

「なに?」

「お願いです よく読んでください
原田さん」
「そのコピーが金寿のイメージダウン
につながると思いますか」
「あたしそうならないように
がんばったつもりです」
「それを読んで消費者が誤解すると
いうのならあきらめます」
確かに夏子の言うように原作に掲載
されていた夏子の広告は、アルコール
添加をしても、それが酒の品質を
上げるものだと強調されており、
決して商品のイメージダウンには
つながらないような広告でした。
ですが・・・

「あきらめろ」
必死に説得を試みる夏子の言葉に
上司の威厳を持ってほぼ命令として
原田が冷淡に告げます。

もうこうなると夏子は、従うしかない
のです。

「ムダだ」

「原田さん」
なおも食い下がろうとする夏子に
原田は

「もういい!
今夜は君の捨てようとした原稿を
クライアントに見せろ!」

がっくりうなだれて、机に手をつく
夏子

「君が造り酒屋の娘だということが
かえってわざわいしたのかもしれ
ないな」
「君は酒を愛しすぎてる」

「広告すべき商品を愛してはいけない
のですか?」
ほとんど消え入るような声になって
夏子が言います。

「広告マンは商品を愛することは
ない・・・」
「広告を愛していればいい・・・」

「原田さんはあたしが・・!」
「広告を愛していないと思い
ますか!?」
机を見つめながら、夏子が最後に
声をしぼります。

しかし話が済んだというように
原田はそんな夏子を幾分哀れむ
ように眺めるだけでした。』

“「」内セリフのみ
出典:「夏子の酒」
尾瀬あきら著
講談社漫画文庫刊”

今回はここまでです。

まあ上司の原田は当然の話をして
ますね。
もちろん夏子の情熱はわかりますが、
クライアントとコピーライターの
立場をわきまえていない行動だった
といえるでしょう。
ただそれだけ夏子の酒造りへの思いが
強かったというわけです。

もちろん私たちが、その広告を読んで
アルコール添加について知るように
なれば、それは純米酒も少しは
売れるようになるでしょうが、
夏子の広告をみただけでは、世の中
のほとんどの人は、そのままアルコール
添加の酒を飲み続けるでしょう。
純米酒の良さを理解するためには、この
ような漫画を読むか、船瀬俊介氏の
「ほんものの日本酒を!」築地書館 刊
をじっくり読まないとだめだと思い
ます。
私たち消費者は、つまりこの純米酒
がどういうものかさえ知らない人が
多かったのです。
それだけ、日本酒は応援されて
なかったのですから。

この漫画の存在がなければ、テレビ
などのマスコミの宣伝に泣かされたまま
日本酒はどんどん先細りしていく運命に
あったといえるでしょう。

しかし、この漫画以降日本酒は大ブーム
になり、テレビやマスコミがほとんど
宣伝もせずに、ニュースでも取り上げて
いないのに、口コミでどんどん売れる
ようになっていったのです。

それだけメッセージ性があったという事
なのでしょう。
ただやはりというか、テレビに実写版で
ドラマ化された時には、大幅に編集
されて、やはり日本酒の良さや農薬問題
などが、ほとんどわからないというつくり
になったというわけです。
漫画を読んだ人は、それが手に取るように
わかりますが、ドラマしか観てないような
人には、日本酒の良さ、純米酒の良さが
全く伝わらないような内容になって
しまったと思います。

まあそれだけ日本酒は応援されてないという
事です。誰にって?
それは、日本の農業や酒造業などが潤って
しまうと都合が悪い人たちにでしょう。
そうそう、それと、実は適度であれば純米酒
はとても身体によいし、同じ原材料で
さらに同じ酒蔵で甘酒もできるのでこれも
健康に良いですから、医療機関や製薬会社に
とっても都合が悪いという事になります。

次回は夏子が同席を許された接待の席で
の話です。

ではまた(^^)/

いきなり自分の新しく書いた

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