夏子の酒物語  その4       日本酒の実態と広告とのギャップ

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夏子の酒第4弾です。

まずは前回までのあらすじです。

夏子は、不治の病の兄康男への
思いを胸にしまいながら、東京へ
戻り、夢であったコピーライター
の仕事を続けます。初めての大型
クライアントの酒のメーカーの広告
を任された夏子は、はりきりますが、
大量生産の酒は、とてもまずく、
つい会社の仲間との飲み会で、それと
比べて実家の安酒の方が質が高くて
おいしいと主張します。
その時に兄の事を思い出した夏子は
目に涙があふれてきます。そのまま
席を立ってホテルに戻った彼女を
オニの上司の原田がたずね、忘れ物
を届けますが、その時に夏子は、実家
の酒を原田に飲んでもらいます。
それを飲んで、うまいという原田と
酒の事を話すうちに、兄の言葉を
思い出していく夏子。
原田は、その時夏子の兄の言葉に
光るものを感じて、夏子にそれを
広告に使おうと持ちかける。
内心とまどいながらも、徹夜で夏子は
広告を、書き上げたのでした。

さてここから今回の記事になります。

夏子が兄の言葉を大事にしながら書き
上げた広告は素晴らしい出来でした。
その広告だけず引用しておきましょう。

「」内は引用、~は中略です。

「美酒、なないろに輝いて。

甘・辛・酸・苦・渋-
酒のあじわいを語る時、私たちはどれほど
の言葉を用いても、それを言いつくす
事はできません。その澄みきった、何の色
ももたない液体の中には、ちょうど太陽の
光がプリズムを通すと七色の虹になる
ように、様々な味が息づいているのです
から。

酒造りの長い歴史と最高の技術・設備の
中で、金寿は変わる事なく、なないろに
輝いて、多くの方々にご愛飲いただいて
おります。」

“「」内出典:「夏子の酒」
尾瀬あきら著
       講談社漫画文庫刊”

なかなかよくできた広告ですね。
私たちは、こういう広告やCMにつられて
長年大手メーカーの酒を、こぞって
買い求めてたんだろーなーと思えます。

兄のような手作りの酒にこそ、贈られる
べき言葉が、大量生産の混ぜ物入りの
酒の広告に使われる事に内心納得
いかないながらも、それを吹き飛ばす
ようなニュースが、夏子と原田たち
のもとに飛び込んできます。

社長室に呼ばれて、社長が満足げに
なんと先方の大手メーカーが、この
広告を読んで、一発でオッケーを出した
と告げてくれたのです。
つまり夏子の初の大仕事が認められ、
全国紙の朝刊に毎月の月曜日に載せ
られる事になったというのです。

まあ大手新聞社のようなところの
一面にでかでかと自分の広告が掲載
されるようになった夏子は、大出世
したわけですね。
つまり夢だったコピーライターへの
道が大きく開けたという事です。

同じプロジェクトの同僚の先輩達に
祝福されてなごむ中で、一人オニの
原田だけは冷静でした。

つまりこれから以降のこの大手
クライアントの広告も任されている
ため、すぐにその事で会議に入ると
いうのです。

さて金寿というお酒の商品名で
売り出している大手酒造メーカーの
次の広告プロジェクトに向けて
会議が行われますが、今回は、
その会議の様子を再現します。

会議室には、ホワイトボードを
背に会議を仕切る原田と、それに
対して、夏子と三人の先輩達が
います。
途中で出てくる先輩たちは、先輩A
とか、先輩Bというように書いて
おきます。

「」内セリフだけ引用で、~が中略です。

「原田「-金寿の今回の広告目的のひとつに
特級酒はすべて本醸造に切り替えるという
のがある」
「企業努力 品質のグレートアップ
これを第2弾のコンセプトにする」

先輩A「ホンジョーゾー?
   なんですかそりゃ」

原田「おいおい勉強不足だぜ」
  「おれより佐伯くんのにほうが
   詳しいだろう
   頼む」

夏子「あ・・・はい」

照れながら純米酒を手にして
「これです」といい
夏子は説明を始めます。

夏子「ええと あのお酒は本来 米と米麹
  だけで造るものですが
  それは「純米酒」と呼ばれています」
  「それに少量のアルコールを添加して
   増量したお酒を「本醸造」と呼んで
   います」

先輩A「アルコール・・・・・?」

夏子「ええ白米1トンに対して
   120リットル
   お酒にして約25%以下と定められて
   います」

先輩A「でもお酒ってのは
    もともとアルコールのことだろ?」

夏子「いえ・・・発酵してできたアルコール
   ではなく
   廃糖蜜というサトウキビのカスを
   蒸留して作った無味無臭のエチル
   アルコールです」

先輩B「ヘエー」
   「でも待てよ金寿は
    グレードアップして本醸造に
    なったんだろ」
    「じゃあ今まではなんだったんだ?」

夏子「特に表示のないものは普通酒とか
   三倍増醸酒とか言って
   それらは2倍から3倍の
   アルコールを添加しています」

先輩B「半分以上もアルコールを入れちゃう
   のか!!
   それで酒の味がするのか?」

夏子「しません
   だから水あめや化学調味料で味つけ
   します」
   
それから夏子は、その添加物だらけの酒の
サンプルをテーブルに並べて続けます。

夏子「こういうパックのものや
   カップ金寿がそれです」

サンプルを取り上げた先輩Bが言います。
 
先輩B「なるほど醸造用アルコール
   糖類添加と書いてある」
   「フーン知らなかったなァ
    酒に水あめかよ・・・」

タイミングを計っていたかのように原田が
会議をまとめようと会話に入ってきます。

原田「もういいだろう・・・とにかく
   第2弾は特級金寿イコール本醸造の
   イメージを打ち出す」

夏子「つまりアルコールの量が少なくなって
   おいしくなったとアピールするわけ
   ですね」

原田「いやちがう」
  「アルコールという言葉を一切使わずに
本醸造をアピールしろというんだ
   クライアントは」

夏子はそれを聞いて思わず叫びます。

夏子「ええ!?」

原田「いくら少量とはいえ
   アルコールの持つ語感
   混ぜ物をしているというイメージは
   消費者の誤解を招き・・・」
   「せっかくグレードアップしたのに
    そり効果がなくなるというんだ」
                   」
“「」内出典:「夏子の酒」
尾瀬あきら著
       講談社漫画文庫刊”

夏子にとっては、全く納得のいかない大手
酒造メーカーの無茶ぶりのように思え
ますが、これも致し方のない事かも知れま
せんね💧
というのも、そういう酒の実情を知らない
一般の無知さに乗じて、大量に酒を売りさば
いてきた、大手酒造メーカーにとって、
消費者が知恵をつけて、本物を見分ける
知識が身についてしまうほど恐ろしい事は
ないからです。

つまり確かに品質をグーレードアップして
みたけど、内容を消費者に知らせずに、
印象だけを、大々的に宣伝して、酒を売ろう
というのが、クライアントの意思だったと
いうわけです。

私たちはそんな大手酒造メーカーのCMを
観ながら育ってきたというのが、よくわかり
ますね。月桂冠や黄桜、素敵な俳優たちに
うまそうにのませて、品質とは関係の
ないところで、イメージを売り込むかー。
ありましたねーー。

「近頃辛口の酒が多いという貴兄のために
辛口の大関をどうぞ」
「スズキのあらいーひらめのえんがわ
げっけーいかんータイとエビーで
げっけーいかん にほんのさけーー
月桂冠ー」

これ観て、おいちょっと酒買ってくるわと
多くのだんなさんが、近所の酒屋に買いに
いく風景が、目に浮かんでくるようですね。

もちろんいま観たCMの酒を買いに行くわけ
です。

あーーこんな風に私たちは誘導されて
きたんだなーとつくづく
感心しました(^_^;)

ですが、当然そんなごまかしの広告を喜んで
受け入れるはずのない夏子でしたが、
とにかく、コピーをつくるため机に向かい
ます。
また出世のための作品を書き上げるのか
それとも・・・・・?

次回を待っていただきたい(^_^;)💧

  
   

  

    

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